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特定技能 宿泊の要件と手続き|会社側の条件6つ・試験・働ける期間

特定技能 宿泊の要件と手続き|会社側の条件6つ・試験・働ける期間

特定技能「宿泊」で外国人を雇う会社向けに、対象になる業務、旅館・ホテル営業の許可や協議会加入など会社側の6つの条件、試験と日本語の要件、申請までの手順、1号の通算5年と2号の違い、よくある失敗3つを公的資料をもとに解説します。

ホテルや旅館で特定技能の外国人を雇うには、会社側にも満たすべき条件があります。知らずに進めると、協議会(国土交通省が設ける、受け入れる会社などが入る組織)に入る前に申請して不許可になったり、清掃だけを任せて仕事の範囲を外れたりします。派遣で受け入れた場合は、その後5年間は特定技能の受入れができなくなります。

押さえることは3つです。

  • 対象は旅館・ホテル営業の許可がある施設だけ
  • 申請の前に協議会へ加入する
  • 1号は通算5年、2号なら上限なし

この3つを押さえておくと、申請の不許可や受入れ停止といった大きな失敗を避けやすくなります。この記事では、対象になる業務、会社と本人の要件、手続きの順番、働ける期間、よくある失敗までを順に説明します。

この記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公的資料を2026-11-08時点で確認して書いています。観光庁の資料と、2026年1月23日に決まった新しい分野別の方針も確認しました。制度は変わるので、申請前に最新の情報も確かめてください。

ここがポイント

特定技能「宿泊」は、フロント・企画広報・接客・レストランサービスを担う外国人を直接雇う仕組みです。受け入れられるのは旅館・ホテル営業の許可を持つ施設で、国土交通省の協議会に申請前に加入する必要があります。本人は技能試験と日本語試験に合格するか、宿泊の技能実習を良好に修了していることが条件です。1号は通算5年まで、2号に進めば上限なく働けます。

特定技能「宿泊」とは|フロント・接客を担う即戦力の資格

特定技能(人手不足の分野で外国人が働くための在留資格)のうち、宿泊分野を指します。検索では「特定技能宿泊」「宿泊特定技能」とも書かれます。対象業務は、宿泊施設でのフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供です。

特定技能 宿泊の図解
特定技能 宿泊の図解

制度は2019年4月に始まり、熟練者向けの2号は2023年8月31日から受入れが始まりました。宿泊分野の有効求人倍率(求職者1人に対する求人の数)は2024年度で4.71倍です。全国的に人材確保が難しい分野として、国も受入れの必要性を認めています。

人数には、まだ受入れの余地があります。出入国在留管理庁の速報値では、2026年8月末の宿泊分野の1号在留者は2,917人、2号は65人でした。2026年1月の方針では、2024年度から2028年度末までの1号の受入れ上限を1万4,800人としています。

項目内容
担当する省庁国土交通省(観光庁)
従事する業務フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等
雇用の形直接雇用のみ(派遣は不可)
1号の在留者数2,917人(2026年8月末・速報値)
1号の受入れ上限1万4,800人(2024年度から2028年度末まで)

業務の範囲:主な仕事は4つで、清掃は付随的にしかできない

認められた仕事は、上の4つを中心とした宿泊サービスの提供です。日本人の従業員が普段あわせて行う関連業務なら、付随的に任せることはできます。例として、客室清掃、ベッドメイキング、館内販売、館内備品の点検・交換が挙げられています。

ただし、関連業務だけに専念させることは認められていません。レストランサービスだけに固定するのも、在留期間全体で見て幅広く従事していないと判断される恐れがあります。一部の期間だけフロント係に配置する、といった運用は差し支えないとされています。

特定技能「宿泊」の受入れ条件|会社側の要件は6つ

会社側(特定技能所属機関)には、宿泊分野だけの条件が6つあります。どれか1つでも欠けると、受入れができません。

  1. 旅館業法の「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること
  2. 風俗営業法で定める施設(ラブホテル等)に該当しないこと。また、外国人に「接待」をさせないこと。2026年5月22日からは、「接待」をさせないための対策をとっていることも求められます
  3. 国土交通省が設置する宿泊分野特定技能協議会の構成員になること
  4. 協議会と、国土交通省が行う調査や指導に協力すること
  5. 支援を登録支援機関(支援を代行する認められた事業者)に任せる場合、その機関も協議会に加入していること
  6. 本人から求められたら、実務経験を証明する書面を交付すること

営業の種類:簡易宿所と下宿は対象外になる

許可の種類で受入れの可否が決まります。民泊やゲストハウスに多い簡易宿所営業、下宿営業は対象外です。確認書類は旅館業許可証(旅館・ホテル営業許可書)で、自治体によって名称が異なります。

営業の形特定技能「宿泊」の受入れ
旅館・ホテル営業できる
簡易宿所営業できない
下宿営業できない
風俗営業法で定める施設(ラブホテル等)できない

雇用は直接雇用に限られます。派遣会社から受け入れることも、系列の施設へ派遣することもできません。違反すると虚偽文書の行使などに当たり、以後5年間は特定技能の受入れができなくなります。

特定技能「宿泊」の人材の条件|試験2つか技能実習の修了

本人側の条件は、技能試験と日本語試験の両方に合格することです。技能は「宿泊分野特定技能1号評価試験」で確認します。日本語は「日本語能力試験(N4以上)」か「国際交流基金日本語基礎テスト」の合格が、現在の確認書類です。

入り口技能試験日本語試験
試験で入る宿泊分野特定技能1号評価試験に合格N4以上か日本語基礎テストに合格
宿泊職種の技能実習2号を良好に修了免除免除
他の職種の技能実習2号を良好に修了合格が必要免除

技能実習(技能を学びながら働く制度)からの移行は、宿泊職種の「接客・衛生管理作業」が対象です。良好に修了したことは、宿泊技能実習評価試験(専門級)の合格証明書などで示します。

試験の中身:日本語で行う学科と実技で、国内は毎月ある

試験の実施主体は、観光庁が定めた一般社団法人宿泊業技能試験センターです。試験言語は日本語で、学科試験と実技試験をコンピューター方式などで行います。国内試験は毎月実施され、受験できるのは試験日に満17歳以上の外国人です。

合否は試験日から30日以内にメールで通知され、合格証明書の有効期限は10年です。合格しても在留資格が保証されるわけではなく、申請の審査は別に行われます。

日本語の水準:2026年1月の方針でA2.2相当に改められた

2026年1月23日に決まった新しい方針では、1号の日本語水準を「日本語教育の参照枠」(国が示す日本語力の物差し)のA2.2相当以上(日常の身近な場面で簡単なやり取りができる段階)と表しています。2号にもB1相当以上の水準が定められました。どの試験が当たるかは運用要領の改正で示されるため、申請前に最新の要領を確認してください。

特定技能「宿泊」の手続き|受入れまで6ステップ

手続きは、会社の準備、本人との契約、協議会加入、在留資格の申請の順に進みます。協議会への加入は在留資格の申請の前に済ませる必要があります。

  1. 旅館・ホテル営業の許可証を確認し、受け入れる業務と配置を決める
  2. 試験合格者や技能実習修了者を探し、内定を出す(試験前の内定も禁止されていません)
  3. 日本人と同等以上の報酬で雇用契約を結び、1号特定技能外国人支援計画(本人の仕事と生活を支える支援の内容をまとめた計画)を作る(登録支援機関に委託も可)
  4. 観光庁の案内に従い、e-Gov電子申請で宿泊分野特定技能協議会に入会する(郵送は不可)
  5. 協議会の構成員であることの証明書と誓約書(分野参考様式第10-1号)を添えて、地方出入国在留管理局に申請する
  6. 許可後に就労を開始する。働く施設が変わるときは、許可証を添えて雇用契約変更の届出を出す

協議会の入会通知書は、入会時にだけ発行されます。2024年6月15日以降は、初めて受け入れる場合でも申請時に構成員であることの証明書の提出が必要です。加入の手順や問い合わせ先は観光庁の協議会ページで案内されています。

特定技能「宿泊」で働ける期間|1号は通算5年・2号は上限なし

1号は、在留できる期間が原則通算で5年までです(2号の評価試験に不合格となり一定の要件を満たす場合は6年)。家族の帯同は認められません。長く働いてもらうには、2号への移行が道になります。

2号の条件は、「宿泊分野特定技能2号評価試験」の合格と、複数の従業員を指導しながら2年以上働いた実務経験です。実務経験は、試験の申込み時に証明書で示します。2号になると在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も認められます。

比べる点1号2号
技能の確認1号評価試験(技能実習修了で免除あり)2号評価試験
実務経験不要指導しながら2年以上
在留期間通算5年まで上限なし
家族の帯同不可可
2026年8月末の在留者2,917人65人

特定技能「宿泊」の注意点|よくある失敗は3つ

失敗1:清掃や売店だけを任せて、認められた仕事から外れる

人手が足りない客室清掃に専念させたくなりますが、関連業務だけに従事させることは認められていません。主な仕事はフロント・企画広報・接客・レストランサービスです。配置表を作り、関連業務が付随的な範囲に収まっているかを確認してください。

失敗2:協議会に入る前に申請して、不許可になる

協議会の構成員であることの証明書がないと、申請は不許可になります。入会はオンラインのみで、通知書が届くまでの時間も見込む必要があります。登録支援機関に支援を任せる場合は、その機関の加入も確認してください。

失敗3:派遣や系列施設への貸し出しで、5年間受入れができなくなる

宿泊分野は直接雇用だけです。繁忙期に系列のホテルへ人を回す形は、派遣に当たる恐れがあります。働く施設を変えるなら、雇用契約変更の届出と許可証の添付が必要です。

注意

報酬は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上でなければなりません。また、義務的な支援にかかった費用を本人から徴収することは認められていません。この支援の費用には、登録支援機関への委託費用、事前ガイダンスや相談対応などの通訳費、入国・出国時の送迎の交通費などが含まれます。

特定技能「宿泊」と育成就労|2027年4月から並ぶ2つの制度

技能実習に代わる育成就労制度は、2027年4月1日に始まります。宿泊分野は対象分野に定められ、2027年度からの2年間の受入れ上限は5,200人です。育成就労を終えるときに求められる水準は、宿泊分野特定技能1号評価試験の合格と、日本語A2.2相当以上です。

つまり、育成就労で3年育て、特定技能1号へ進み、2号を目指すという一本の道ができます。会社側の条件は特定技能とほぼ同じで、旅館・ホテル営業の許可と協議会への協力が求められます。育成就労の協議会は、2026年10月時点で入会申請の受付開始を待つ状態です。

注意

2026年1月23日の閣議決定で、宿泊分野の方針は特定技能と育成就労を一体にした新しいものに置き換わりました。古い資料には、1号の受入れ上限を2万3,000人とするものが残っています。数字や日本語の水準は、新しい方針と最新の運用要領で確かめてください。

よくある質問

試験に合格した人は、どこで見つければよいですか

国内ではハローワークや、許可を受けた職業紹介事業者を通じて探せます。海外では現地の職業紹介事業者を使う方法が案内されています。宿泊職種(接客・衛生管理作業)の技能実習2号を良好に修了した人は試験なしで移行でき、ほかの職種の修了者も日本語試験は免除されるため、まず社内を確認する価値があります。

2号に進むための実務経験は、どう証明しますか

会社が実務経験を証明する書面を交付します。これは会社の義務で、本人から求められたら断れません。複数の従業員を指導しながら働いた期間が2年以上あることが条件なので、役割と期間が分かる記録を残しておいてください。

支援は自社でできますか、登録支援機関に頼む必要がありますか

自社で支援の体制を整えられれば、委託は必須ではありません。委託する場合、その登録支援機関も宿泊分野の協議会に加入している必要があります。委託料に法令上の上限はなく、契約で額と内訳を明示することになっています。

まとめ

特定技能「宿泊」は、フロント・接客・レストランサービスなどを担う外国人を、許可を持つ宿泊施設が直接雇う制度です。受入れの余地は大きく、2026年8月末の1号在留者は2,917人、上限は1万4,800人です。

会社側の条件は6つあり、特に申請前の協議会加入と、関連業務だけに専念させないことが重要です。本人は技能試験と日本語試験に合格するか、宿泊職種の技能実習2号を良好に修了している必要があります。

1号は通算5年までですが、指導経験2年以上と2号試験で2号へ進めば上限なく働けます。2027年4月には育成就労も始まり、育てて長く働いてもらう道がそろいます。制度は動いているので、申請の前に最新の方針と運用要領を確認してください。

この記事のまとめ

  • 対象は旅館・ホテル営業の許可がある施設で、直接雇用のみ
  • 申請前に協議会へ加入し、関連業務だけに専念させない
  • 1号は通算5年、2号へ進めば上限なし

出典・参考にした公的資料

制度は改正されることがあります。手続きの前には、必ず最新の公的情報をご確認ください。