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特定技能 工業製品製造業とは|対象17区分と受入れ企業が満たす6つの条件

特定技能 工業製品製造業とは|対象17区分と受入れ企業が満たす6つの条件

特定技能「工業製品製造業」で外国人を雇いたい会社向けに、対象になる事業所の見分け方、1号17区分と2号3区分の違い、試験と日本語の要件、登録法人への加入など会社側の6つの条件、申請の手順と失敗例を公的資料をもとに解説します。

特定技能で外国人を雇おうとした製造業の会社が最初につまずくのは、「うちの工場は対象か」の確認です。対象外の事業所で申請すると許可は下りず、採用にかけた時間と費用がむだになります。派遣で受け入れると、以後5年間は受入れ自体ができなくなります。

押さえることは3つです。

  • 対象は産業分類と業務区分で決まる
  • 1号は通算5年、2号は上限なし
  • 申請前に登録法人への加入が必須

この3つを押さえれば、「対象外だった」「書類が足りない」という手戻りを防げます。この記事では、対象の見分け方から試験、会社側の条件、申請の手順、よくある失敗までを順に説明します。

この記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公的資料を2026-11-08時点で確認して書いています。工業製品製造業特定技能の細かな決まりは2026年6月25日に改正されたばかりで、今後も変わる可能性があります。雇う前には、記事末尾の公的ページで最新の内容を確かめてください。

ここがポイント

特定技能「工業製品製造業」は、国が定めた産業分類に当てはまる製造の事業所が、17の業務区分で外国人を直接雇える制度です。1号は在留が通算5年までで会社に支援義務があり、2号は更新回数に上限がなく家族も呼べます。雇う会社は、申請前に経済産業大臣の登録を受けた法人に加入するなど、6つの条件を満たす必要があります。

特定技能 工業製品製造業とは|1号は17区分、2号は3区分

特定技能(人手不足の分野で外国人が働くための在留資格)のうち、製造業向けの分野が工業製品製造業分野です。担当する省庁は経済産業省で、雇い方は直接雇用に限られます。

特定技能 工業製品製造業の図解
特定技能 工業製品製造業の図解

もとは「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3つの分野でした。2022年5月25日に1つに統合され、2024年9月30日に今の名前へ変わりました。2026年1月23日の閣議決定で業務区分が増え、同年6月25日に細かな決まりも改正されています。

1号は17の業務区分、2号は3つに限られる

1号(現場で作業する人向け)の業務区分は17あります。2号(熟練した人向け)は機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分だけです。

区分の種類業務区分
1号・2号の両方機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理
1号のみ紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造(古紙や廃プラスチックから作る固形燃料の製造)、陶磁器製品製造、印刷・製本、紡織製品製造、縫製、電線・ケーブル製造、プレハブ住宅製品製造、家具製造、定形・不定形耐火物製造、生コンクリート製造、ゴム製品製造、かばん製造

1号の受入れ上限は19万9,500人

国は1号の受入れ見込数を19万9,500人と定め、2029年3月末(令和11年3月末)までの上限として運用しています。2号には上限がありません。製造業の有効求人倍率(求人数÷求職者数)は2024年度で2.81倍と高く、国も人手不足を認めています。

特定技能 工業製品製造業の対象事業所|産業分類76項目と直近1年の出荷実績で決まる

外国人が働く事業所が、日本標準産業分類(国が決めた業種の分け方)で指定された産業を行っている必要があります。1号は76項目、2号は46項目が指定されています。会社全体ではなく、働く事業所ごとに見る点に注意してください。

「行っている」とは、その事業所で直近1年間に製造品出荷額等が発生していることです。製造品出荷額等とは、製品の出荷額と加工賃収入の合計を指します。出荷や加工の実績がまだない事業所は、この条件を満たせません。

丸ごと対象の業種と、一部だけ対象の業種がある

対象のされ方例
中分類が丸ごと対象繊維工業、印刷・同関連業、プラスチック製品製造業、ゴム製品製造業、生産用機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業、情報通信機械器具製造業
小分類・細分類で指定家具製造業、鉄骨製造業、金属製サッシ・ドア製造業、電気めっき業、金属熱処理業、自動車・同附属品製造業、こん包業
除かれるもの業務用機械のうち医療用機械器具・医療用品製造業と武器製造業、はん用機械のうち消火器具・消火装置製造業

関連業務は付随的ならよい

指定の業務区分の仕事を主に行えば、日本人も普段担当する関連業務に付随的に就くことは認められます。例は原材料や部品の調達・搬送、前後工程の作業、クレーンやフォークリフトの運転、清掃・保守管理です。ただし、関連業務だけをさせることは認められません。

注意

事業所が繊維工業・印刷・同関連業・こん包業の場合は、協議会(国と業界団体などでつくる分野ごとの話し合いの場)で決まった追加の条件があります。繊維工業は、国際的な人権基準に沿った事業運営、勤怠管理の電子化、パートナーシップ構築宣言、給与の月給制の4つです。印刷は指定された4つの組合連合会のいずれか、こん包業は日本梱包工業組合連合会への所属が必要です。

特定技能 工業製品製造業の1号と2号|在留は1号が通算5年、2号は上限なし

項目特定技能1号特定技能2号
技能の水準相当程度の知識・経験熟練した技能
在留期間3年を超えない範囲で指定された期間ごとに更新。通算で上限5年(相当の理由があれば6年)3年・2年・1年・6か月ごとに更新。更新回数に制限なし
日本語A2.2相当以上(基本的な日常会話ができる程度)B1相当以上(身近な話題を理解して話せる程度)
家族の帯同基本的に認めない要件を満たせば配偶者と子が可能
会社の支援義務ありなし
業務区分173
受入れ上限19万9,500人設定なし

1号の方は、通算5年を過ぎると特定技能1号では在留できません。長く働いてもらうには、3区分のどれかで2号へ進んでもらう道を早めに描く必要があります。

1号を雇う会社は10項目の支援を行う

1号を雇う会社は、支援計画(生活と仕事を支える計画)を作って実行する義務があります。定められた支援は次の10項目で、面談は3か月に1回以上行います。自社で行うか、登録支援機関(支援を代行する登録済みの事業者)に委託します。

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援(人員整理等の場合)
  • 定期的な面談・行政機関への通報

支援の全部を登録支援機関に委託すれば、支援体制の条件を満たしたとみなされます。2号の方には支援の義務がありません。

特定技能 工業製品製造業の試験|1号は技能と日本語、2号は実務経験3年も必要

区分技能の証明日本語の証明
1号製造分野特定技能1号評価試験、技能検定3級、育成就労(技能実習に代わって始まる新しい受入れ制度)の評価試験(専門級)のいずれかJFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)A2.2相当以上、または日本語能力試験N4以上
2号製造分野特定技能2号評価試験とビジネス・キャリア検定3級(生産管理プランニングまたは生産管理オペレーション)の両方、または技能検定1級日本語能力試験N3以上(B1相当以上と判定された場合に限る)

技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除される

技能実習2号(3年目までの技能実習)を良好に修了した方は、試験が免除される場合があります。修了時に身につけた技能と従事する仕事に関連性があれば、技能試験と日本語試験の両方が不要です。関連性がない場合は技能試験が必要ですが、日本語の証明は当面不要です。

免除を受けるには、技能検定3級か技能実習評価試験(専門級)の実技の合格証明書の写しが要ります。合格していない場合は、実習先が作った技能の評価調書を出します。

2号は国内の製造現場で3年以上の実務経験が条件

2号は試験に加え、日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場で3年以上働いた実務経験が必要です。対象は食料品製造業と飲料・たばこ・飼料製造業を除く製造業の事業所で、製品の加工などに従事した経験を指します。技能検定1級で進む場合は、会社が実務経験の証明書(分野参考様式第3-2号)を書きます。

2号の日本語は、2027年4月1日(令和9年4月1日)以降「日本語教育の参照枠」B1相当以上が求められます。取扱いは別途知らせるとされているため、2号を目指す方がいる会社は続報を確認してください。

特定技能 工業製品製造業で会社が満たす条件|登録法人への加入など6つ

雇う会社(特定技能所属機関)は、どの分野にも共通する基準に加え、この分野だけの条件を満たす必要があります。共通の基準は次の4つです。

  • 報酬が日本人と同等以上など、雇用契約が適切である
  • 会社自体が適切である(5年以内に出入国・労働の法令違反がない)
  • 外国人を支援する体制がある
  • 支援計画の内容が適切である

工業製品製造業特定技能だけの条件は次の6つで、1つでも欠けると受入れができません。

  1. 生産性向上と国内人材確保の取組を行い、登録法人の確認を受ける
  2. 経済産業大臣の登録を受けた法人(登録法人)の構成員になり、行動規範を守る
  3. 事業所が対象の産業分類に当てはまる(繊維・印刷・こん包業は協議会で決まった措置も行う)
  4. 経済産業省やその委託先による指導、報告の求め、現地調査(オンラインを含む)に協力する
  5. 育成就労と違う仕事をさせる場合や安全確保の場面で、必要な訓練・研修を行う
  6. 本人から求められたら、実務経験を証明する書面を交付する

登録法人には申請の前に加入する

登録法人とは、業界団体が共同で設け、経済産業大臣の登録を受けた非営利の法人です。出入国在留管理庁の資料では、この分野の相談窓口として一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)が案内されています。加入は在留申請の前に済ませ、申請時には会員名簿に自社名が載っていることを示す書類を出します。

派遣は禁止、違反すると5年間受入れ不可

この分野では、特定技能の方を派遣することも、派遣された方を受け入れることもできません。違反すると不正な行為と扱われ、以後5年間は特定技能の受入れができなくなります。

注意

人材会社から「派遣で特定技能の方を入れられる」と持ちかけられても、工業製品製造業では法令上できません。雇用契約は必ず自社と本人の間で直接結んでください。

特定技能 工業製品製造業の手続き|雇用開始までの流れは7ステップ

  1. 事業所の確認:働く事業所が対象の産業分類に当てはまり、直近1年間の製造品出荷額等があるかを確かめる
  2. 業務区分の決定:任せたい仕事が17区分のどれかを決め、関連業務だけにならないか見直す
  3. 登録法人への加入:登録法人に加入し、生産性向上・国内人材確保の取組の確認を受ける
  4. 候補者の要件確認:試験合格か技能実習2号の良好な修了を証明書で確かめる。2号は実務経験3年も見る
  5. 雇用契約と支援計画:日本人と同等以上の報酬で直接雇用の契約を結び、10項目の支援計画を作る
  6. 協力確認書と在留申請:事業所と住居のある市区町村に協力確認書(受け入れる外国人について、市区町村の取組に協力すると約束する書類)を出し、地方出入国在留管理局へ申請する
  7. 就労開始後の運用:3か月に1回以上の面談、各種届出、必要な研修を続ける

申請では、分野固有の誓約書(分野参考様式第3-1号)と、登録法人の構成員であることを示す書類を添えます。海外から呼ぶ場合は在留資格認定証明書交付申請、国内にいる方は在留資格変更許可申請です。

費用の主な項目は、登録法人への加入にかかる費用、支援を委託する場合の委託費、来日する方の渡航費です。金額は登録法人や委託先ごとに異なるため、契約の前に見積もりを取ってください。

特定技能 工業製品製造業の注意点|よくある失敗は3つ

失敗1:産業分類が対象外で、申請が通らない

本社が製造業でも、働く事業所が物流や販売の拠点なら対象外です。食料品や飲料の製造は別の分野(飲食料品製造業)で、この分野では雇えません。対象かどうかは、事業所の直近1年間の製造品出荷額等と産業分類の番号で確かめてください。

失敗2:登録法人に入らないまま申請し、書類がそろわない

登録法人への加入は在留申請の前に必要で、申請時に会員名簿の写しを出します。加入の手続きが終わるまで申請できないため、採用が決まってから動くと入社が遅れます。候補者を探すのと同時に、加入の手続きを始めてください。

失敗3:2号に進めない区分で、5年後の計画がない

2号へ進めるのは機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分だけです。紙器・段ボール箱製造など他の14区分で雇った1号の方は、通算5年で在留の期限を迎えます。

転職は同じ業務区分内か、試験で技能の共通性が確認された区分の間に限られます。採用の時点で、5年後にどの区分で2号を目指すかまで考えておくと安心です。

よくある質問

技能実習生をそのまま特定技能1号に切り替えられますか

技能実習2号を良好に修了し、修得した技能と新しい仕事に関連性があれば、試験なしで切り替えを申請できます。関連性がなければ技能試験の合格が必要です。どの職種・作業がどの業務区分に対応するかは、運用要領の別表で確認します。

工場に入ってすぐ1人で機械を任せてもよいですか

1号の方は、指導者の指示を理解し、特段の育成・訓練なしに製造工程の作業に就ける水準とされています。ただし、育成就労で経験した仕事と違う作業をさせる場合や安全確保が必要な場面では、会社に訓練・研修の実施が求められます。労働災害を防ぐ安全衛生教育は、日本人と同じように行ってください。

受入れ上限の19万9,500人に達したらどうなりますか

上限を超える見込みになると、新しい受入れ(在留資格認定証明書の交付)を止める措置が取られることがあります。人手不足の状況が変われば、再開の措置もあります。上限に近いかどうかは、出入国在留管理庁が公表する分野ごとの受入れ見込数と在留者数で確認できます。

まとめ

特定技能工業製品製造業は、国が定めた産業分類に当てはまる製造の事業所で、17の業務区分に外国人を直接雇える制度です。まず自社の事業所が対象か、直近1年間の製造品出荷額等と産業分類で確かめてください。

1号は通算5年までで、会社には10項目の支援義務があります。2号は更新回数に上限がなく家族も呼べますが、進めるのは3区分だけです。長く働いてもらうには、採用時から2号への道筋を考えておきます。

会社側は、申請前に登録法人へ加入するなど6つの条件を満たし、派遣を使わず直接雇用で受け入れます。決まりは2026年6月25日に改正されたばかりで、2027年4月1日にも変更が控えています。手続きの前には、必ず公的ページで最新の内容を確認してください。

この記事のまとめ

  • 対象は事業所の産業分類と17の業務区分で決まり、直近1年の出荷実績が必要
  • 1号は通算5年で支援義務あり、2号は上限なしだが3区分に限られる
  • 申請前に登録法人へ加入し、派遣は使わず直接雇用で受け入れる

出典・参考にした公的資料

制度は改正されることがあります。手続きの前には、必ず最新の公的情報をご確認ください。