特定技能 介護の要件と手順|対象施設・試験・人数枠・訪問介護・5年後

特定技能「介護」で外国人を雇う前に押さえたい、対象施設と人数枠、試験と日本語の条件、協議会の入会から就労後の登録までの手順、訪問介護に出せる条件、5年後の進路を、出入国在留管理庁と厚生労働省の最新資料をもとに整理します。
介護分野の特定技能(外国人が日本で働くための在留資格の一つ)には、ほかの分野にない決まりが3つあります。協議会(厚生労働省が設ける受入れ機関の集まり)に入る前は申請ができず、受け入れ人数は常勤の介護職員の数が上限です。採用を先に進めると、内定のあとで申請が通らず、現場の計画が崩れます。
押さえることは3つです。
- 雇える施設と人数枠を先に確かめる
- 協議会の入会証明書が申請の前提
- 5年後の進路を初年度から用意する
この3つを先に押さえておくと、申請の差し戻しや受け入れ後の是正指導を避けやすくなります。この記事では、制度の中身から対象施設、手続き、訪問介護の条件、5年後の進路までを順に説明します。
この記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公的資料を2026-11-08時点で確認して書いています。介護分野の運用方針は2026年1月23日に改められ、訪問介護の扱いも2025年4月に変わりました。古い解説と混ざりやすいため、確認日を目安にしてください。
ここがポイント
特定技能「介護」は、試験に合格した外国人を直接雇用し、通算5年を上限に身体介護などを任せられる制度です。雇う側は、対象施設であること、常勤介護職員数の範囲内であること、協議会に入ることの3つが条件です。介護福祉士に合格すれば在留資格「介護」へ進めるため、5年後を見据えた育成が成否を分けます。
特定技能「介護」とは|試験に合格した即戦力を直接雇う制度
特定技能は、人手不足の分野で即戦力となる外国人を受け入れるため、2019年4月に始まりました。対象は1号が19分野、2号が11分野で、介護は1号だけです。2026年6月末の1号の在留者は42万5,961人(速報値)にのぼります。

介護分野で任せられる仕事は、身体介護等(入浴・食事・排せつの介助など)です。レクリエーションや機能訓練の補助、掲示物の管理や物品の補充といった付随する業務もできます。
雇い方は直接雇用に限られ、派遣はできません。在留できる期間は通算で原則5年が上限で、家族の帯同は基本的に認められません。
背景にあるのは介護の人手不足です。2024年度の有効求人倍率は4.08倍で、全都道府県で2倍以上です。国は2024年度から2028年度までの1号の受入れ上限を12万6,900人と定めています。
違い1:技能実習や在留資格「介護」とは入口と出口が異なる
| 制度 | 入口 | 働ける期間 | 次の進路 |
|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 技能と日本語の試験に合格 | 通算5年(事情により6年) | 介護福祉士に合格して在留資格「介護」へ |
| 育成就労(技能実習に代わる新制度・2027年4月開始) | 日本語A2.2相当以上(日常の簡単なやり取りができる程度) | 3年 | 試験に合格して特定技能1号へ |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士の登録 | 5年・3年・1年・3か月を更新 | 更新を続けて就労 |
| EPA介護福祉士候補者 | 経済連携協定に基づく受入れ | 候補者として4年 | 介護福祉士の国家試験に合格 |
特定技能は、働き始める前に技能と日本語を試験で確かめる分、早い段階から介護の仕事を任せやすいのが特徴です(一定期間は経験のある職員とチームでケアに当たります)。育てながら働いてもらう育成就労とは、ここが違います。
違い2:介護には特定技能2号がない
ほかの分野では、熟練者向けの特定技能2号に進むと在留期間の上限がなくなります。介護分野には2号がありません。介護福祉士の資格を取れば在留資格「介護」で働ける仕組みが、すでにあるためです。
特定技能で雇える介護施設と人数|常勤の介護職員数が上限
雇える事業所は、介護福祉士の実務経験として認められる施設が基本です。厚生労働省が対象施設の一覧を公表しており、主なものは次のとおりです。
| 区分 | 対象になる主な施設・事業 |
|---|---|
| 老人福祉法・介護保険法 | 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、ショートステイ、訪問介護、訪問入浴介護 |
| 障害者総合支援法 | 障害者支援施設、生活介護、短期入所、就労継続支援、共同生活援助、居宅介護、重度訪問介護 |
| 児童福祉法 | 児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設 |
| そのほか | 病院、診療所、救護施設、更生施設 |
有料老人ホームは特定施設入居者生活介護を行うものが対象です。サービス付き高齢者向け住宅は、有料老人ホームの要件を満たす施設だけが対象になります。小規模多機能型居宅介護は対象ですが、その訪問の部分には従事できません。
条件1:受け入れ人数は事業所ごとに常勤介護職員の総数まで
1つの事業所で受け入れられる1号特定技能外国人は、日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。例えば、常勤の介護職員が10人のデイサービスなら、特定技能の方は10人までです。法人単位ではなく事業所単位で数える点に注意してください。
条件2:人員配置基準には就労と同時に数えられる
厚生労働省の通知(2019年3月29日付け。2025年4月21日に一部改正)では、1号特定技能外国人は配置基準上、就労と同時に職員とみなして差し支えないとされています。ただし一定期間は、経験のある職員とチームでケアに当たる体制が求められます。病院で看護補助者として働く場合も、配置基準の員数に含められます。
特定技能の介護で働ける人の条件|合格が要る試験は3つ
本人に求められるのは、介護の技能試験、介護の日本語試験、一般の日本語試験の3つの合格です。2026年4月1日から適用される合格基準は次のとおりです。
| 試験 | 内容 | 合格基準 |
|---|---|---|
| 介護特定技能評価試験(技能) | 学科40問と実技5問、60分 | 総得点の60%以上 |
| 介護特定技能評価試験(日本語) | 介護のことば・声かけ・文書の15問、30分 | 総得点の73%以上 |
| 国際交流基金日本語基礎テスト または 日本語能力試験 | 「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上 | 日本語能力試験はN4以上 |
介護の2試験はコンピューターで受ける方式で、受験料は各2,000円程度です。受験できるのは17歳以上(インドネシア国籍は18歳以上)です。不合格の場合、翌日から45日間は再受験できません。
免除1:介護の技能実習2号を良好に修了した人は試験が免除
次の3つのいずれかに当てはまる人は、介護の技能試験と日本語評価試験が免除されます。
- 介護職種の技能実習2号を良好に修了した人(一般の日本語試験も免除)
- 介護福祉士養成施設を修了した人
- EPA介護福祉士候補者として4年の在留期間を満了した人
特定技能で介護職員を受け入れる手順|協議会の入会から登録まで6段階
手続きの起点は、協議会への入会です。入会証明書がないと、地方出入国在留管理局への申請ができません。順番は次のとおりです。
- 自社の条件を確認する。対象施設であること、人数枠に余裕があること、報酬を日本人と同等以上にできること、過去5年に出入国や労働の法令違反がないことを点検します。
- 協議会に入会する。介護分野における特定技能・育成就労協議会の申請システムに法人と事業所の情報を入力し、事業所の指定通知書を提出します。手続きはすべてオンラインで、入会費・年会費は無料です。
- 本人と雇用契約を結ぶ。直接雇用で、報酬は日本人と同等以上にします。
- 支援計画を作る。事前ガイダンス、住居の確保、生活オリエンテーション、日本語学習の機会、相談対応、定期的な面談など10項目を盛り込みます。登録支援機関(支援を代行する登録済みの事業者)に委託もできます。
- 地方出入国在留管理局に申請する。海外から呼ぶ場合は在留資格認定証明書(入国前に在留資格の条件を満たすことを国が証明する書類)の交付申請、日本にいる人は在留資格の変更申請です。介護分野の誓約書と、有効期限内の入会証明書を添えます。
- 就労開始後4か月以内に協議会へ登録する。雇用条件書、支援計画書、在留カードの写しを提出します。入会証明書の有効期間は初回1年、更新後は4年で、更新は期限の4か月前から手続きできます。
費用1:金額が公的資料にあるのは受験料と協議会の会費だけ
費用の項目は、試験の受験料、海外の送出し機関への費用、渡航費、住居の初期費用、登録支援機関への委託料、申請書類の作成費などです。このうち公的資料に金額があるのは、受験料の各2,000円程度と、協議会の会費が無料という2点だけです。委託料などは事業者ごとに違うため、複数の見積もりを比べてください。
注意
入会証明書に登録されていない事業所では、特定技能の方を受け入れられません。法人内の異動も同じ扱いです。新しい事業所で働いてもらう前に、協議会へ事業所の情報を追加してください。
特定技能の介護職員と訪問介護|2025年4月21日から条件付きで可能
以前は施設内の仕事に限られていましたが、2025年4月21日の告示(国の決まり)の改正で、訪問介護などの訪問系サービスにも従事できるようになりました。ただし、本人と事業所の両方に条件があります。詳しくは厚生労働省の訪問系サービスへの従事についての案内にまとまっています。
条件1:本人は初任者研修の修了と実務経験1年以上
従事できるのは、介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験が原則1年以上ある人です。来日直後の方を、すぐに訪問へ出すことはできません。
条件2:事業所は5つの遵守事項を守り適合確認書を受ける
| 遵守事項 | 内容 |
|---|---|
| 研修 | 訪問介護の業務の基本事項などの研修を行う |
| 同行 | 一定期間、責任者などが同行して訓練する |
| 計画 | 業務内容を丁寧に説明し、本人の意向を確かめてキャリアアップ計画を作る |
| 相談窓口 | ハラスメント防止のための相談窓口などを設ける |
| 環境整備 | 不測の事態に対応できるよう、情報通信技術の活用を含めて環境を整える |
事業所は、国が定めた巡回訪問等実施機関(事業所を訪ねて受け入れ状況を確かめる機関)に報告書を出し、外国人ごとに適合確認書(訪問系サービスに従事させてよいことを確かめた書面)の発行を受けます。利用者と家族への事前の説明も必要です。キャリアアップ計画は評価期間が1年で、期間が終わるたびに4か月以内に定期報告を出します。
特定技能の介護職員の5年後|介護福祉士に合格して在留資格「介護」へ
1号の在留は通算5年が原則の上限です。産前産後休業や育児休業、病気やけがによる休業の期間は通算に含みません。5年を過ぎても働き続けてもらうには、在留資格を変える必要があります。
介護の場合、その道は介護福祉士の国家試験です。合格して登録すると在留資格「介護」に変更でき、在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかで更新しながら働けます。2020年4月1日の改正で、資格の取得ルートを問わず認められるようになりました。
救済1:国家試験に落ちても要件を満たせば通算6年まで延長
介護福祉士国家試験に不合格でも、一定の要件(試験で合格基準点の8割以上を取るなど)を満たすと、通算在留期間が6年になります。厚生労働省が発行する結果確認通知書が必要です。延長の申請は、5年の満了の3か月前から満了までに行います。
進路2:育成就労からの受入れは2027年4月から
技能実習に代わる育成就労は、2027年4月に始まります。介護分野では3年の育成期間の後、介護育成就労評価試験(専門級)と介護特定技能評価試験(日本語)に合格すると特定技能1号に進みます。介護の転籍制限期間は2年です。
採用した初年度から、国家試験を見据えた日本語学習と実務の計画を立てておくと、5年目に慌てません。
特定技能の介護受入れの注意点|よくある失敗は4つ
失敗1:協議会に入る前に申請して差し戻される
入会証明書は申請書類の一部です。協議会の確認が終わる前に地方出入国在留管理局へ申請しても、手続きは進みません。採用が決まる前に、法人と事業所の登録を済ませておきましょう。
失敗2:人数枠を事業所単位で数えずに上限を超える
法人全体で余裕があっても、事業所単位の常勤介護職員数を超える受け入れはできません。常勤職員の退職で枠が減ることもあるため、採用のたびに数え直してください。
失敗3:支援や届出を怠って受け入れ停止になる
雇用契約の履行、支援の実施、地方出入国在留管理局への届出は受入れ機関の義務です。怠ると外国人を受け入れられなくなるほか、指導や改善命令の対象になります。協議会も、指導後に改善しない構成員を強制的に脱退させ、公表することがあります。
失敗4:条件を満たさない人を訪問介護に出す
初任者研修の修了と実務経験1年以上の両方を満たし、適合確認書を受けた人だけが訪問系サービスに従事できます。人手不足でも、この順番は飛ばせません。
注意
訪問介護は、本人の要件・事業所の遵守事項・適合確認書の3つが揃って初めて可能です。施設内で働ける人でも、そのまま訪問に出せるわけではありません。
よくある質問
日本にいる留学生や、介護以外の技能実習生も雇えますか
日本に在留している人も、技能と日本語の試験に合格すれば、在留資格の変更で特定技能に進めます。介護以外の職種で技能実習2号を良好に修了した人は、一般の日本語試験は免除されます。ただし、介護の技能試験と介護日本語評価試験の合格は必要です。
支援は自社で行わないといけませんか
登録支援機関に委託できます。支援を全部委託すれば、受入れ機関に求められる「支援体制がある」という基準を満たしたことになります。自社で行う場合は、本人が理解できる言語で支援できる体制が必要です。
育成就労が始まると、特定技能の介護はなくなりますか
なくなりません。育成就労は技能実習に代わる制度で、3年の育成を経て特定技能1号に進む前提で設計されています。受入れ見込数も、特定技能1号の12万6,900人とは別に、育成就労として3万3,800人が定められています。
まとめ
特定技能「介護」は、試験で技能と日本語を確かめた人を直接雇用し、通算5年を上限に身体介護を任せられる制度です。対象施設であること、事業所ごとの常勤介護職員数の範囲内であること、協議会に入ることが、雇う側の3条件です。
手続きは協議会の入会が起点で、入会証明書を添えて地方出入国在留管理局に申請し、就労開始から4か月以内に協議会へ登録します。訪問介護に出すには、初任者研修の修了と実務経験1年以上、事業所の遵守事項、適合確認書が要ります。
介護分野の人手不足は2024年度の有効求人倍率が4.08倍と深刻で、2028年度末までの受入れ上限は12万6,900人です。5年後に介護福祉士として残ってもらう育成を、採用の初年度から始めることが定着の近道です。
この記事のまとめ
- 雇えるのは対象施設で、人数は事業所ごとの常勤介護職員数まで
- 協議会の入会証明書がないと申請できず、就労後4か月以内の登録も必要
- 5年の上限を越えるには介護福祉士の合格と在留資格「介護」への変更
出典・参考にした公的資料
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
- https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nursingcare.html
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56271.html
- https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/nursingcare.html
- https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/content/001691384.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/content/001742020.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/content/001478482.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/content/001743548.pdf
制度は改正されることがあります。手続きの前には、必ず最新の公的情報をご確認ください。


