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特定技能 自動車運送業とは|3区分の免許・日本語要件と採用までの流れ

特定技能 自動車運送業とは|3区分の免許・日本語要件と採用までの流れ

特定技能の自動車運送業分野で外国人ドライバーを雇うための条件を解説します。トラック・タクシー・バスの3区分で異なる免許と日本語の要件、会社側に必要な認証と協議会加入、採用から乗務開始までの流れがわかります。

免許の切替や日本語の要件を知らずに外国人ドライバーの採用を進めると、入国後に運転できない期間が長引きます。免許を取るための在留期間はトラックで最長6か月、タクシー・バスで最長1年で、延長はできません。期間内に免許が取れなければ、特定技能には移れません。

押さえることは3つです。

  • 区分ごとに免許と日本語の要件が違う
  • 会社側にも認証と協議会加入が要る
  • 免許取得の猶予は6か月か1年

この3つを押さえると、「採用したのに乗務させられない」「会社の条件が足りず申請が通らない」という手戻りを防げます。この記事では、制度の仕組みから本人の要件、会社側の条件、採用の手順、つまずきやすい点までを順に説明します。

この記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公的資料を2026-11-08時点で確認して書いています。自動車運送業分野は国土交通省が所管し、2026年1月23日に受入れの方針が改められました。運用要領(制度を運用するための細かな決まりをまとめた国の資料)も2026年10月9日に一部改正されており、制度は動いています。

ここがポイント

特定技能「自動車運送業」は、トラック・タクシー・バスの運転者を特定技能1号で雇える制度です。本人には評価試験と日本語試験の合格、日本の運転免許が必要で、タクシー・バスは第二種免許と新任運転者研修も要ります。会社側は働きやすい職場認証(トラックはGマークでも可)と協議会への加入が条件です。

特定技能 自動車運送業とは|トラック・タクシー・バスの3区分

自動車運送業分野は、2024年3月29日の閣議決定で特定技能(人手不足の分野で外国人が働ける在留資格)の対象になりました。所管は国土交通省で、対象は特定技能1号だけです。業務の区分はトラック運転者・タクシー運転者・バス運転者の3つに分かれます。

特定技能 自動車運送業の図解
特定技能 自動車運送業の図解
区分主な業務必要な運転免許日本語の水準研修
トラック運行業務・荷役業務第一種運転免許N4以上またはJFT-Basic A2.2なし
タクシー運行業務・接遇業務第二種運転免許原則N3以上新任運転者研修
バス運行業務・接遇業務第二種運転免許原則N3以上新任運転者研修

運転できるのは事業用自動車(緑ナンバー)に限られ、自家用の白ナンバーでの業務はできません。運転以外の付随する作業は、その会社の日本人ドライバーが通常行う範囲なら任せられます。

背景1:2024年問題で、ドライバーの求人倍率が高止まりしている

自動車運送業分野では、2024年4月から運転業務にも残業時間の上限規制が適用されました。国の運用方針によると、2024年度の分野の有効求人倍率(求職者1人あたりの求人数)は2.99倍です。国内での人材確保を進めてもなお、2028年度に2万2,100人が不足すると国は見込んでいます。

背景2:受入れの上限は2万2,100人で、枠にはまだ余裕がある

この分野の受入れ見込数は、2024年度から2028年度までの5年間で2万2,100人です。2026年6月末時点の在留者は558人で、2025年12月末の151人から増えてはいるものの、上限にはまだ遠い状況です。制度の詳細は出入国在留管理庁の分野ページにまとまっています。

特定技能 自動車運送業の人材要件|試験・日本語・免許の3点

本人に求められるのは、評価試験の合格、日本語試験の合格、日本の運転免許の3点です。タクシーとバスはこれに新任運転者研修の修了が加わります。どれか1つでも欠けると、特定技能1号の在留資格は取れません。

要件1:評価試験は区分ごとに分かれ、免許がないと受けられない

自動車運送業分野特定技能1号評価試験は、トラック・タクシー・バスの区分ごとに行われます。試験は一般財団法人日本海事協会が実施し、2024年12月に始まりました。受験するには、日本か外国で取得した有効な運転免許を持っていることが条件です。

要件2:日本語はトラックがN4、タクシー・バスは原則N3

トラックは日本語能力試験(JLPT)のN4以上か、日本語基礎テスト(JFT-Basic)のA2.2相当で足ります。タクシーとバスは乗客とのやり取りがあるため、原則としてN3以上(B1相当)が求められます。

ただし、タクシーと乗合バスでは、次の条件をすべて満たせばN4相当でも受け入れられます。

条件内容
業務貸切バスの運転ではないこと
学習計画N3程度(B1相当)を目指す日本語学習プランを作ること
同乗乗客や営業所との意思疎通を助ける日本語サポーターを乗せること
離島・半島のバス自治体の協力同意書などがあればサポーターの同乗は不要

なお、タクシー・バスの日本語要件は、2027年4月1日以降は「日本語教育の参照枠」のB1相当以上が求められる予定です。詳しい取り扱いは別途案内されるとされているため、来年以降に採用する会社は続報に注意してください。

要件3:タクシー・バスは第二種免許と新任運転者研修が加わる

タクシーとバスは、お客様を乗せて運ぶための第二種運転免許が必要です。さらに、座学(法令・接遇・地理・安全)、路上走行、適性診断からなる新任運転者研修を修了しなければなりません。研修は受け入れる会社が実施し、修了は業界団体が定めた効果測定の基準で判定されます。

特定技能 自動車運送業の運転免許|外国の免許は切替が必要

外国人ドライバーの採用で最も時間がかかるのが運転免許です。国際運転免許証だけでは、特定技能外国人として運転業務に就くことはできません。外国の免許を日本の免許に切り替える外免切替か、日本の教習所で免許を取り直す必要があります。

原因1:外国の免許は、取得後3か月以上その国にいた記録が要る

外免切替を受けるには、外国で免許を取った後、その国に通算3か月以上滞在していたことを書類で示す必要があります。免許証の日本語訳、取得日が分かる書類、滞在期間を証明する旅券なども要ります。

日本と同等の免許を持っていても、特定技能だからといって技能試験が免除される特例はなく、原則として教習所で取り直すか、外免切替で知識と技能の確認(一部の国・地域の免許は免除)を受ける必要があります。

原因2:大型や第二種は、普通免許を経てからになる

外国の大型免許に相当する免許があっても、外免切替では一度普通免許に切り替えてから大型を取る流れです。第二種免許の受験資格は、原則として21歳以上で、免許を受けていた期間が通算3年以上必要です(受験資格特例教習を修了した人は19歳以上・通算1年以上で受けられます)。海外での運転経歴も数えられますが、それを証明する書類が要ります。

区分免許を取るための在留期間の上限延長期間内にすること
トラック6か月不可第一種運転免許の取得
タクシー・バス1年不可第二種運転免許の取得と新任運転者研修の修了

海外にいる人は、試験に合格した後、在留資格「特定活動」で入国して期間内に免許を取ります。日本にすでに住んでいる人(留学や家族滞在など)は、特定技能への変更申請の前に日本の免許を取っておく必要があります。

注意

免許を取るための在留期間のうちに日本の免許が取れないと、特定技能への変更はできず、期間の延長もありません。採用を決める前に、外国免許の種類・取得日・取得後の滞在期間を書類で確かめておくことが大切です。

特定技能 自動車運送業の会社側の条件|認証と協議会加入の2つ

本人の要件を満たしても、会社側の条件が欠けていれば申請は通りません。会社に求められるのは、事業の許可、職場の認証、協議会への加入の3点です。国土交通省の自動車運送業分野のページに申請の様式と問い合わせ先があります。

条件トラックタクシー・バス
事業の許可道路運送法の自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業=他社の輸送も組み合わせて集荷から配達まで一貫して請け負う事業を含む)同じ
職場の認証働きやすい職場認証またはGマーク働きやすい職場認証
協議会加入が必要(在留資格の申請まで)同じ
研修なし新任運転者研修を会社が実施
雇用の形直接雇用のみ直接雇用のみ

条件1:働きやすい職場認証かGマークがないと申請できない

受け入れる会社は、働きやすい職場認証(運転者職場環境良好度認証制度)を受けている必要があります。トラック運送業に限り、全日本トラック協会のGマーク(安全性優良事業所)でも代わりになります。貨物軽自動車運送事業だけを行う会社はどちらの対象にもならないため、受け入れができません。

条件2:協議会への加入は申請前に済ませ、確認に1か月かかる

国土交通省が設ける協議会には、受け入れる会社と登録支援機関(本人の生活支援を代行する会社)の両方が加入します。加入の受付は2025年1月17日に始まり、入会金や年会費はかかりません。届出の内容確認には1か月程度かかり、在留資格の申請までに加入しておく必要があります。

条件3:雇用は直接雇用だけで、賃金は日本人と同じ水準にする

この分野では労働者派遣は認められず、派遣された人を受け入れることもできません。労働時間や賃金などの条件は、日本人の運転者と同じにする必要があります。

特定技能 自動車運送業の採用手順|海外から呼ぶ場合は6ステップ

海外にいる人を採用する場合の流れは次のとおりです。会社側の準備を先に終えておくと、本人の試験合格後に待たせずに進められます。

  1. 会社側の準備をする。働きやすい職場認証(トラックはGマークでも可)を取り、協議会に加入届を出す。確認には1か月程度かかる。
  2. 本人が区分に合った評価試験と日本語試験に合格する。受験には有効な運転免許が必要。
  3. 雇用契約を結び、免許を取るための在留資格「特定活動」を申請して入国する。
  4. 期間内に日本の免許を取る。トラックは6か月以内、タクシー・バスは1年以内。この間は車両の清掃などの関連作業はできるが、運送業務としての運転はできない。
  5. タクシー・バスは新任運転者研修を受け、修了する。
  6. 特定技能1号への在留資格変更を申請し、許可が出たら乗務を始める。

要件がそろったら、期間の途中でも速やかに変更申請をする決まりです。申請の審査中に期間が過ぎても、最長2か月は引き続き在留できます。日本にすでに住んでいて免許を持っている人は、ステップ3と4を飛ばして特定技能1号へ直接申請できます。

特定技能 自動車運送業の注意点|よくある失敗は3つ

失敗1:免許費用を貸し付けて「辞めたら一括返済」の契約を結ぶ

免許取得の費用は、会社が負担することが望ましいとされています。本人に負担させる場合は、本人が理解できる言語で説明し、事前に了承を得なければなりません。一定期間働いたら返済を免除する契約や、途中で辞めたら残額を一括返済させる契約は、受入れができなくなるおそれがある例です。

注意

特定技能では、保証金を預かる契約や違約金を定める契約が禁止されています。免許費用の援助は、賃金に含めて補てんする形なら認められます。転職や退職の自由を縛る形になっていないか、契約書を見直してください。

失敗2:白ナンバーや軽貨物だけの事業で雇おうとする

特定技能外国人が運転できるのは、事業用自動車(緑ナンバー)だけです。自社の荷物を白ナンバーで運ぶ業務には就けません。軽貨物の業務に就かせることはできますが、貨物軽自動車運送事業だけの会社は認証の対象外のため、受け入れ自体ができません。

失敗3:タクシー・バスの日本語要件を軽く見る

N4相当の人をタクシーや乗合バスで受け入れるには、日本語学習プランの作成と日本語サポーターの同乗が必要です。サポーターには、自社で6か月以上雇用された、運転士を引退して事務職にいる人や高速バスの交代運転士などが想定されています。

雇用期間が6か月未満の人は、安全や接遇の研修を受けて業界団体の基準に達すれば同乗できます。

よくある質問

特定技能2号や育成就労で、長く働いてもらうことはできますか

自動車運送業分野は特定技能1号だけで、2号(期限なく働ける上位の資格)も育成就労(技能実習の後継制度)も対象外です。国土交通省は追加の予定を「現時点では未定」としています。在留は通算5年が上限のため、長く働いてもらうには他の在留資格への切替も早めに検討してください。

技能実習を終えた人を、トラックの運転者として採用できますか

技能実習2号を良好に修了した人は、職種を問わず、当面の間、日本語試験(JFT-BasicやJLPT)を受けなくても必要な日本語能力があるものとして扱われます。トラックはこれで日本語要件を満たしますが、評価試験の合格と日本の第一種運転免許は必要です。

タクシーとバスでは、この扱いで日本語能力がA2.2相当(N4相当)とみなされます。そのため、別にN3以上(B1相当)に合格していない限り、次の3つの条件を満たす必要があります。貸切バスでないこと、分科会の認証を受けた日本語学習プランを作ること、日本語サポーターを同乗させることです(離島・半島の乗合バス・特定バスで、自治体の協力同意書がある場合は単独で乗務できます)。あわせて、評価試験の合格・第二種運転免許・新任運転者研修の修了も必要です。

他の分野の特定技能から転職してきた場合、在留期間はどう数えますか

他の分野で特定技能1号として在留した期間も、通算の5年に含めて数えます。帰国を挟んで再び来日した場合も同じです。一方、免許を取るための「特定活動」の在留期間は、特定技能1号の通算期間には入りません。

まとめ

特定技能「自動車運送業」は、トラック・タクシー・バスの運転者を特定技能1号で雇える制度です。本人には区分ごとの評価試験と日本語試験の合格に加え、日本の運転免許が要ります。タクシーとバスは第二種免許と新任運転者研修が加わり、日本語も原則N3以上と高めです。

会社側は、道路運送法の許可、働きやすい職場認証(トラックはGマークでも可)、協議会への加入の3点をそろえます。雇用は直接雇用に限られ、賃金は日本人と同じ水準にします。協議会の届出確認には1か月程度かかるため、本人の試験合格を待たずに会社側の準備を始めるのが近道です。

最大の山は運転免許で、外国の免許は取得後3か月以上の滞在記録が要り、大型や第二種は普通免許を経てからになります。在留期間はトラック6か月・タクシー・バス1年で延長できません。採用前に免許の種類と経歴を書類で確かめ、費用の援助は返済条件を付けない形にしてください。

この記事のまとめ

  • 対象は特定技能1号のみで、区分ごとに免許と日本語の要件が違う
  • 会社には働きやすい職場認証(トラックはGマーク可)と協議会加入が要る
  • 免許を取る猶予はトラック6か月・タクシー・バス1年で延長なし

出典・参考にした公的資料

制度は改正されることがあります。手続きの前には、必ず最新の公的情報をご確認ください。