登録支援機関とは|支援10項目・全部委託の条件・選び方と注意点

登録支援機関とは何か、特定技能1号の方に行う義務的支援10項目、全部委託と一部委託の違い、費用の決まり、登録簿と体制で選ぶ基準、契約から届出までの手順と注意点を、出入国在留管理庁の資料をもとに整理します。
特定技能1号(人手不足の分野で外国人が働くための在留資格)で雇う会社には、支援の義務があります。体制が足りないと、在留資格(働く許可)の申請が通らないことがあります。仕組みを知らずに契約すると、費用や責任の範囲で後からもめます。
押さえることは3つです。
- 支援の対象は特定技能1号の方だけ
- 全部委託なら支援体制の基準を満たす
- 費用は会社負担で本人に請求できない
この3つを押さえれば、申請の差し戻しと契約後のトラブルを防げます。この記事では、登録支援機関の定義から支援の中身、委託の形、費用、選び方、手順、注意点までを順に説明します。
この記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公的資料を2026-11-08時点で確認して書いています。数字は2026年11月5日現在の登録簿と、2025年4月改訂の支援の運用要領によります。制度は変わるため、確認日を目安にしてください。
ここがポイント
登録支援機関は、特定技能1号の方への支援10項目を会社に代わって行う、国に登録された機関です。全部を委託すれば会社は支援体制の基準を満たしたとみなされますが、支援計画を作る責任と受入れの責任は会社に残ります。費用は会社が負担し、本人に負担させることは法令で禁止です。
登録支援機関とは|特定技能1号の支援を代わりに行う登録済みの機関
登録支援機関とは、受入れ企業から契約で委託を受け、支援計画の全部を実施する機関です。出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関だけが名乗れます。登録された機関の一覧(登録支援機関登録簿)は、国のサイトで誰でも見られます。

特定技能1号で外国人を雇う会社には、仕事と暮らしの支援を計画し、実行する義務があります。この計画を1号特定技能外国人支援計画(以下、支援計画)といいます。自社で行うか、登録支援機関に任せるかを会社が選びます。
特定技能で在留する外国人は、2026年6月末で444,256人(速報値)です。1号が425,961人、2号が18,295人で、支援の義務があるのは1号の方だけです。登録支援機関は2026年11月5日現在で11,807件が登録されています。
内訳1:登録の57%は会社で、協同組合が25%を占める
2026年6月末時点の種類別の件数は次のとおりです。1つの機関が複数の種類に当たる場合は重ねて数えているため、合計は登録件数の11,456件より少し多くなります。
| 種類 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 会社(株式会社・合同会社など) | 6,556件 | 57.0% |
| 中小企業事業協同組合 | 2,839件 | 24.7% |
| 行政書士 | 744件 | 6.5% |
| 一般社団法人 | 202件 | 1.8% |
| 行政書士法人 | 116件 | 1.0% |
| その他 | 1,049件 | 9.1% |
人材会社、協同組合、行政書士の事務所など、成り立ちはさまざまです。種類だけで良し悪しは決まらないため、後述する体制の基準で見極めます。
内訳2:登録は5年ごとの更新制で、切れると支援ができない
登録の有効期間は5年で、更新しないと効力を失います。新規登録の手数料は28,400円、更新は11,100円で、審査にはおおむね2か月かかります。更新を逃した機関は支援業務ができなくなるため、契約先の期限は確かめておきます。
登録支援機関の支援内容|必ず行う支援は10項目
支援には、必ず行う義務的支援と、加えて行うことが望ましい任意的支援があります。義務的支援は10項目すべてを支援計画に書き、すべて実施しなければなりません。任意的支援も、計画に書いた以上は実施する義務が生じます。
| 項目 | 内容 | 時期・目安 |
|---|---|---|
| 1 事前ガイダンス | 労働条件・仕事の内容・入国手続・保証金の有無などを説明 | 雇用契約後、在留申請前。3時間程度 |
| 2 出入国時の送迎 | 空港と事業所や住居の間の送迎。帰国時は保安検査場まで同行 | 入国時・帰国時 |
| 3 住居確保・生活契約の支援 | 連帯保証人や社宅の提供、銀行口座・携帯電話・水道光熱の手続補助 | 入国前後 |
| 4 生活オリエンテーション | 日本のルールやマナー、公共機関の使い方、災害時の対応を説明 | 入国後。8時間以上 |
| 5 公的手続への同行 | 住居地・社会保障・税の手続への同行と書類作成の補助 | 必要なとき |
| 6 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室の入学案内、教材の情報提供 | 就労中 |
| 7 相談・苦情への対応 | 職場や生活の相談に、十分に理解できる言語で対応し助言 | 随時 |
| 8 日本人との交流促進 | 自治会や地域の行事の案内、参加の補助 | 就労中 |
| 9 転職支援 | 会社都合で契約を解除する場合の転職先探し、推薦状、求職のための有給休暇 | 人員整理などのとき |
| 10 定期的な面談・行政機関への通報 | 本人と上司などと面談し、法令違反を知れば通報 | 3か月に1回以上 |
事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談対応、定期面談は、本人が十分に理解できる言語で行います。母国語に限りませんが、内容を余さず理解できる言語である必要があります。込み入った相談では、通訳人の同席が欠かせないとされています。
特徴1:面談で法令違反を知れば、支援機関は行政機関に通報する
面談を行うのは、支援責任者(支援全体の責任者)か支援担当者(実務の担当者)です。長時間労働や賃金の不払いを知ったときは、労働基準監督署などへ通報します。在留カードの取上げなど入管法(出入国管理及び難民認定法。外国人の在留を定める法律)の問題は、地方出入国在留管理局へ通報します。
登録支援機関は会社の代理人ではなく、本人を守る立場も持つ機関です。この性格を理解しておくと、面談の結果をどう受け止めるかで迷いません。
登録支援機関への委託|全部委託なら会社は支援体制の基準を満たす
支援の進め方は3つです。自社ですべて行う、一部だけ委託する、登録支援機関に全部委託する、のいずれかを選びます。全部委託の場合だけ、会社は支援体制の基準を満たしたとみなされます。
| 進め方 | 支援体制の基準 | 定期面談 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 自社で全部行う | 会社が自ら満たす | 自社の支援責任者・担当者が実施 | 言語対応などの体制が必要 |
| 一部を委託 | 会社が自ら満たす | 自社で実施(第三者に任せられない) | 委託の範囲を計画に明示 |
| 全部を委託 | 満たしたとみなされる | 登録支援機関が実施 | 計画の作成は会社 |
注意1:全部委託でも、支援計画を作る責任は会社に残る
全部委託しても、支援計画を作るのは会社です。登録支援機関が作成を手伝うことはできますが、名義も責任も会社のままです。委託先の体制で実効性のある支援ができないと判断されると、受入れが認められない場合があります。
注意2:登録支援機関は支援を他社に再委託できない
登録支援機関は、引き受けた支援そのものを他の者に委託できません。通訳の依頼や送迎でのタクシー利用など、補助を頼むことは認められています。契約先が実際に誰を動かして支援するのかは、契約前に確かめておきます。
登録支援機関の費用|本人に負担させることは法令で禁止
義務的支援にかかる費用は会社が負担します。本人に直接請求することも、別の名目で回収するなど間接に負担させることもできません。これは登録支援機関の登録要件にもなっています。
登録支援機関は、契約を結ぶときに費用の額と内訳を会社に示す義務があります。金額は支援する人数や事業所の数、場所で変わります。国の運用要領は、複数の機関から見積もりを取るよう促しています。
見積もりを比べるときは、次の点を見ます。
- 10項目の支援を誰が何回行うか(面談の回数、ガイダンスの時間)
- 通訳や翻訳の費用が含まれているか
- 送迎や同行にかかる実費の扱い
- 契約期間と途中で解約するときの条件
注意
支援の費用を本人に求める条件が示されたら、その機関との契約は見送ります。本人負担は法令違反で、登録支援機関側の登録要件にも反します。
登録支援機関の選び方|登録簿と体制の7つを確かめる
候補が決まったら、まず出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿で登録番号と登録年月日を確かめます。有効期間は5年なので、期限が近い機関は更新の予定も聞きます。次に、法令が求める体制を満たしているかを、次の7点で確認します。
| 確認点 | 法令の基準 |
|---|---|
| 1 担当者の体制 | 支援責任者と、事務所ごとに1名以上の支援担当者を役員・職員から選任 |
| 2 実績か経験 | 過去2年の外国人の受入れ・管理の実績、過去2年の相談業務の経験、担当者の過去5年間で2年以上の生活相談経験のいずれか |
| 3 言語対応 | 十分に理解できる言語で情報提供と相談対応ができる体制 |
| 4 面談の体制 | 支援責任者か支援担当者が、本人と上司などと定期面談できる体制 |
| 5 記録の保管 | 支援の実施状況の文書を、雇用契約の終了から1年以上事務所に保管 |
| 6 行方不明者 | 過去1年間に、その機関の責任で外国人の行方不明者を出していない |
| 7 中立性 | 受入れ企業の役員の配偶者や二親等内の親族、過去5年以内の役職員は、その企業の支援責任者になれない |
7の中立性は見落としがちです。自社の役員の親族や、5年以内に自社にいた人が支援責任者になる形は認められません。
面談では、誰が支援担当者になるか、何語で対応するか、面談の記録をどう共有するかを聞きます。答えが曖昧な機関は避けます。
登録支援機関を使う手順|契約から届出まで6ステップ
- 候補を絞り、見積もりを比べる。登録簿で登録を確かめ、費用の額と内訳を複数の機関から取ります。
- 支援委託契約を結ぶ。全部委託か一部委託かを決め、一部委託なら委託の範囲を支援計画に明記します。全部委託の契約を在留資格の申請前に結んだ場合は、申請の際に内容が確認されるので、締結の届出は要りません。すでに特定技能で働いている方について新しく全部委託の契約を結んだときや、委託先を変えたときは、締結日から14日以内に、会社が地方出入国在留管理局へ届け出ます(インターネットの電子届出システムも使えます)。このときは支援計画の変更の届出も一緒に出します。
- 支援計画を作る。会社が作成し、日本語と本人が十分に理解できる言語で用意します。本人に写しを渡し、説明のうえ署名をもらいます。
- 在留資格の申請で支援計画を出す。在留資格認定証明書(海外から呼ぶときに必要な証明書)の交付申請や、変更の申請のときに提出します。
- 入国前後の支援を始める。雇用契約後、申請前に事前ガイダンスを行い、入国後は送迎、住居、生活オリエンテーションと続きます。
- 就労後は面談と届出を続ける。3か月に1回以上の面談を行い、全部委託を受けた登録支援機関は毎年5月31日までに前年度分の実施状況を会社経由で届け出ます。契約の変更や終了も14日以内に届出が要ります。
契約の締結・変更・終了の届出は、登録支援機関ではなく会社の義務です。委託したら終わり、ではない点を社内で共有しておきます。
登録支援機関の注意点|よくある失敗は3つ
原因1:丸投げして計画の中身を知らず、申請や面談で説明できない
支援計画の名義は会社で、面談の報告も会社が受け取る立場です。中身を知らないままでは、行政機関から説明を求められたときに答えられません。計画の写しと面談の記録は、会社でも保管します。
原因2:一部委託なのに面談まで任せ、基準に合わなくなる
定期面談は支援責任者か支援担当者が行う決まりです。全部委託の場合を除き、面談を第三者に任せることは認められていません。一部委託で面談まで外に出す形は、基準に合いません。
原因3:登録の期限切れや取消しに気づかず、支援が止まる
登録は5年で切れ、更新できなかった機関は委託を受けていても支援業務ができません。届出を怠る、計画どおり支援しない、虚偽の報告をするなどの場合、登録は取消しの対象になります。契約先の登録状況は、年に一度は登録簿で確かめます。
注意
契約先の登録が切れたり取り消されたりすると、会社は自ら基準を満たすか、別の機関と契約し直す必要があります。契約書に、更新や取消しの際の連絡と引き継ぎの条件を入れておきます。
よくある質問
自社だけで支援を行うことはできますか
できます。ただし、支援責任者と支援担当者を選び、十分に理解できる言語で対応できる体制を会社自身で整える必要があります。体制づくりが難しい場合に、登録支援機関への全部委託が選択肢になります。
特定技能2号の方にも登録支援機関は必要ですか
必要ありません。支援計画の作成と実施の義務は、特定技能1号の方を雇う場合だけに課されています。1号から2号へ移ると、支援計画に基づく支援の対象から外れます。
育成就労が始まると登録支援機関はどうなりますか
育成就労制度(技能実習に代わる新しい制度)は2027年4月1日に始まります。同じ2027年4月1日には特定技能制度の見直しも施行され、受入れ企業が支援を外部に委託する場合の委託先は登録支援機関に限られます。あわせて支援体制の要件も改正され、登録支援機関は支援業務を行う事務所ごとに支援責任者と支援担当者を常勤の役員・職員から選び、支援業務に携わるのは原則としてこの2者に限られます。支援担当者1人あたりの上限は委託元10機関未満・支援する1号の方50人未満で、支援責任者には養成講習の受講が義務付けられます(当分の間は未修了でも差し支えないとされています)。細かな運用は、施行前に最新の資料で確かめます。
まとめ
登録支援機関は、特定技能1号の方への支援10項目を会社に代わって行う、国に登録された機関です。2026年11月5日現在で11,807件が登録され、会社や協同組合、行政書士など成り立ちはさまざまです。
全部委託すれば会社は支援体制の基準を満たしたとみなされますが、支援計画の作成と届出の責任は会社に残ります。費用は会社負担で、本人に負担させることは法令で禁止です。
選ぶときは登録簿で登録を確かめ、支援責任者と担当者の体制、言語対応、中立性を見ます。契約から届出までの流れを押さえ、面談の記録を会社でも持つことが定着への近道です。
この記事のまとめ
- 登録支援機関は特定技能1号の支援10項目を代行する登録制の機関
- 全部委託で基準はみなし充足、計画作成と届出の責任は会社に残る
- 費用は会社負担、選ぶ基準は登録簿と担当者の体制と中立性
出典・参考にした公的資料
- https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00205.html
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00183.html
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00198.html
- https://www.moj.go.jp/isa/content/930004553.pdf
- https://www.moj.go.jp/isa/content/001468647.pdf
- https://www.moj.go.jp/isa/content/001428398.pdf
- https://www.moj.go.jp/isa/content/001459490.pdf
- https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319
- https://laws.e-gov.go.jp/law/356M50000010054
- https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
- https://www.moj.go.jp/isa/05_00045.html
制度は改正されることがあります。手続きの前には、必ず最新の公的情報をご確認ください。