費用・助成金

外国人雇用で使える助成金|主な4制度の金額と申請手順を一覧で解説

外国人雇用で使える助成金|主な4制度の金額と申請手順を一覧で解説

外国人雇用で使える国の助成金を厚生労働省の資料をもとに整理します。外国人専用の就労環境整備コースの20万円から、正社員化・研修・お試し雇用の3制度まで、金額・対象になる会社・申請の手順と落とし穴がわかります。

外国人の方を雇うときに使える助成金は、申請の順番が決まっています。知らずに採用や研修を先に始めると、計画の提出が間に合わず、お金を受け取れません。雇ったときの届出を忘れると、助成金の要件まで満たせなくなります。

押さえることは3つです。

  • 外国人専用の助成金は1つだけ
  • 取組の前に計画を出すのが基本
  • 雇用保険と届出が前提条件

この3つを押さえれば、「申請が間に合わなかった」「要件を満たしていなかった」という失敗を防げます。この記事では、国の主な4つの制度の中身と金額、対象になる会社の条件、申請の手順、落とし穴までを順に説明します。

この記事は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公的資料を2026-11-08時点で確認して書いています。金額や要件は年度の途中でも変わるため、申請の前に厚生労働省のページで最新の案内を確かめてください。

ここがポイント

外国人雇用に使える国の助成金のうち、この記事では主な4つを取り上げます。外国人専用の就労環境整備コースは、定着の取組に20万円か25万円が出ます。ほかの3つは正社員化・研修・お試し雇用の制度を日本人と同じ条件で使います。どれも雇用保険に入っている会社が対象で、取組の前に計画を出すのが原則です。

外国人雇用の助成金とは|外国人専用は1つ、残りは日本人と共通

外国人雇用の助成金とは、外国人の方を雇う会社が国や自治体から受け取れる、返さなくてよいお金のことです。国の制度は厚生労働省の「雇用関係助成金」の中にあります。

外国人 雇用 助成金の図解
外国人 雇用 助成金の図解

財源は、会社が納める雇用保険(従業員の皆様の失業に備える国の保険)の保険料です。そのため、雇用保険に入っている会社であることが共通の入口になります。

「外国人雇用助成金」という名前の制度はありません。外国人の方だけを対象にした国の助成金は、人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースの1つです。ほかは日本人の従業員の皆様と同じ制度を、外国人の方にも使う形になります。

外国人専用の制度は「定着」のためのもの

外国人専用のコースは、採用そのものではなく職場に定着してもらう取組にお金が出ます。就業規則(会社の働くルール)の翻訳や、相談役を決めて行う面談が対象です。採用した人数に応じてもらえるお金ではありません。

日本人と共通の制度は「雇い方」で決まる

キャリアアップ助成金は正社員化、人材開発支援助成金は研修、トライアル雇用助成金はお試し雇用のときに使います。対象は在留資格(日本で働くための資格)ではなく雇い方で決まります。

厚生労働省の各制度のページに、外国人の方を除くという記載はありません。採用の形に合わせて制度を選びます。

外国人雇用で使える助成金の一覧|国の主な4制度を比較

国の主な4つの制度を「何をしたらもらえるか」で並べます。金額は中小企業の場合で、2026年度の厚生労働省の案内に書かれているものです。

制度名どんなときに使うか中小企業の金額
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)外国人の方の定着のため、相談役の選任と書類の多言語化をした20万円(一時帰国の休暇制度も作ると25万円)
キャリアアップ助成金(正社員化コース)期間を決めた契約や短時間で雇っていた方を正社員にした1人40万円(条件を満たす方は80万円)
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)仕事に関係する10時間以上の研修を受けさせた経費の45%〜70%と1時間800円の賃金助成
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)ハローワーク等の紹介で、原則3か月お試しで雇った月額4万円(最長3か月)

4つのうち、外国人専用のコースと人材開発支援助成金は、同じ会社で両方使える場面があります。ただし、同じ取組や同じ経費に2つの助成金を重ねることはできません。詳しくは注意点の章で説明します。

自治体の補助金は別枠で探す

都道府県や市区町村にも、外国人の方の受入れや日本語教育を支援する補助金があります。国の助成金とは財源が違うため、条件を満たせば併用できる場合があります。会社の所在地の自治体に、外国人雇用の補助金があるか聞いてみてください。

外国人雇用の助成金の金額|定着の整備で20万円、正社員化で最大80万円

使う場面が多い3つの制度の金額を、厚生労働省の案内どおりに示します。正社員化と研修の金額は中小企業の場合で、大企業はこれより低くなります(研修で有期雇用の方の経費70%は大企業も同じです)。外国人専用コースは会社の規模に関係なく同じ額で、事業所ごとではなく会社ごとに支給されます。

外国人専用コースは2段階で20万円か25万円

外国人労働者就労環境整備助成コースは、必須の2つの取組をすると20万円です。一時帰国のための有給休暇の制度を作り、1年に1回以上、連続5日以上取らせると25万円になります。定額で、2026年10月1日の改正で今の金額になりました。

取組中身必須か
雇用労務責任者の選任事業所ごとに責任者を決め、3か月に1回以上面談し、国の講習を受ける必須
就業規則等の多言語化就業規則、労働条件通知書、社内マニュアルをそれぞれ1種類以上翻訳して周知する必須
一時帰国の休暇制度帰国のための有給休暇を制度にし、年1回以上・連続5日以上取らせる任意(上乗せ)

正社員化は1人40万円、条件つきで80万円

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期雇用(期間を決めた契約)の方を正社員にすると中小企業で1人40万円です。雇い入れから3年以上たっている方など「重点支援対象者」なら、6か月ずつ2回に分けて合計80万円になります。

正社員にする前の雇い方重点支援対象者それ以外
有期雇用80万円(40万円×2期)40万円
無期雇用40万円(20万円×2期)20万円

無期で雇っていた方を正社員にする場合は、20万円か40万円です。正社員に転換する制度を新しく就業規則に入れると、1事業所につき1回だけ20万円の加算もあります。

研修は経費の45%〜70%と時給800円

人材開発支援助成金の人材育成支援コースは、10時間以上の座学研修(仕事を離れて受ける研修)が対象です。中小企業なら経費の45%(有期雇用の方は70%)に加え、研修中の賃金として1人1時間800円が出ます。

経費助成の上限は研修時間で決まり、10時間以上100時間未満で15万円、200時間以上で50万円です。通信やeラーニングの研修は経費助成だけで、賃金助成は出ません。受講は1人につき1年度3回までです。

外国人雇用の助成金の対象|雇用保険に入っている会社が条件

どの助成金にも共通する条件があります。厚生労働省の「共通要領」(全部の助成金に共通するルール)に書かれているものを、会社の目線でまとめます。申請先は労働局(都道府県ごとにある厚生労働省の出先)です。

  • 雇用保険適用事業所であること。申請日と支給決定日に、雇用保険に入っている従業員の皆様がいる会社
  • 審査に必要な書類(出勤簿、賃金台帳、雇用契約書など)を保管し、労働局の調査に協力すること
  • 前年度より前の労働保険料を滞納していないこと
  • 申請日の前1年間に、労働関係の法律違反で送検されていないこと

外国人専用コースは「雇用保険に入る外国人の方」がいること

外国人労働者就労環境整備助成コースは、雇用保険の被保険者(保険に加入している本人)になる外国人の方を雇っている会社が対象です。特別永住者(戦前から日本に住む方とその子孫で、法律で永住が認められている方)と、在留資格が「外交」「公用」の方は数えません。

さらに、外国人の方を雇ったときにハローワークへ出す外国人雇用状況の届出を正しく出していることも条件です。届出の期限は手順の章で説明します。

中小企業かどうかは資本金か人数で決まる

助成金の金額は中小企業かどうかで変わります。資本金と常時雇用する人数のどちらかが基準以下なら、中小企業として扱われます。

主な事業資本金常時雇用する人数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他(製造業など)3億円以下300人以下

外国人雇用の助成金の申請手順|計画の提出が先、支払いは最後

助成金は「計画を出す→取り組む→申請する→振り込まれる」の順です。先にお金をもらってから取り組む仕組みではないので、費用はいったん会社が立て替えます。外国人専用コースを例に、手順を順番に示します。

  1. 外国人雇用状況の届出が済んでいるかを確かめる。雇用保険に入る方は資格取得届(雇用保険に入ったことをハローワークに知らせる書類)が届出の代わりになり、期限は雇った翌月10日です
  2. 就労環境整備計画を作り、本社を管轄する都道府県労働局に出す。計画期間は3か月以上1年以内で決めます
  3. 計画期間の中で、雇用労務責任者の選任と書類の多言語化を行い、外国人の方に周知する。上乗せを狙うなら、一時帰国の休暇制度も就業規則に書きます
  4. 計画期間が終わった翌日から6か月間、外国人の方の離職率を15%以下に保つ。外国人の方が2人以上6人以下なら、辞めた方が1人以下であればよいとされています
  5. 6か月たった日の翌日から2か月以内に支給申請を出す。郵送なら期限までに届いている必要があります
  6. 労働局の審査を経て、会社の口座に振り込まれる

ほかの3制度も「取組の前」に出す書類がある

キャリアアップ助成金は、正社員にする前日までにキャリアアップ計画を出します。人材開発支援助成金は、研修開始日の6か月前から1か月前までに訓練実施計画届を出します。

支給申請の期限は、どちらも2か月以内です。いつから数えるかは制度で違うので、下の表で確かめてください。

制度取組の前に出すもの支給申請の期限
外国人労働者就労環境整備助成コース就労環境整備計画計画終了後6か月たった翌日から2か月以内
キャリアアップ助成金キャリアアップ計画(転換の前日まで)転換後6か月の賃金を払った翌日から2か月以内
人材開発支援助成金訓練実施計画届(開始の6か月前〜1か月前)研修終了日の翌日から2か月以内

注意

外国人労働者就労環境整備助成コースは、2026年10月1日の改正に対応した電子申請が準備中です(11月8日時点)。改正後の様式で申請する場合は、労働局への持参か郵送になります。

外国人雇用の助成金の注意点|よくある失敗は3つ

助成金は、要件を1つ外すだけで全額が出ません。起きやすい失敗を3つに絞って説明します。

失敗1:採用や研修を先に始めて、計画が間に合わない

いちばん多い失敗は、順番の間違いです。正社員にした後でキャリアアップ計画を出しても、その方の分は対象になりません。研修も、開始の1か月前を過ぎると計画届を出せません。

何かを始める前に、まず労働局に計画を出すと覚えてください。迷ったら、取組の日程を決める前に労働局の助成金窓口に相談します。

失敗2:同じ経費に2つの助成金を重ねる

共通要領では、同じ行為や同じ経費に2つ以上の助成金を払うことを禁じています。例えば、日本語研修の受講料を人材開発支援助成金で申請しながら、同じ受講料を別の助成金にも出すことはできません。

国と自治体の補助金を組み合わせるときは、どの費用をどちらで申請するかを先に分けておきます。

失敗3:届出や書類の不備で要件を満たさない

外国人雇用状況の届出を怠ると、30万円以下の罰金の対象になるうえ、外国人専用コースの要件も満たせません。雇う前に、在留カード(働ける範囲が書かれたカード)で就労できるかを確かめることも基本です。

出勤簿や賃金台帳がそろっていないと、審査で止まります。書類は申請のときに集めるのではなく、日ごろから整えておきます。

注意

故意でない記載の誤りでも、労働局が軽微と認めたもの以外は助成金が支給されません。わざと事実と違う内容で申請すると不正受給になります。返還に加えて年3%の延滞金と返還額の2割が請求され、その後5年間は雇用関係助成金を受けられません。代理人や従業員の皆様の不正でも、会社が責任を負います。

よくある質問

技能実習生や特定技能の方でも対象になりますか

外国人労働者就労環境整備助成コースは、雇用保険に入る外国人の方が対象です。特別永住者の方と「外交」「公用」の方を除くだけで、在留資格の種類では区別していません。ほかの3制度は雇い方で決まるため、契約の形を労働局に事前に確かめてください。

日本語教育の費用にも助成金は出ますか

人材育成支援コースは、仕事に関係する10時間以上の研修が対象です。日本語教育が当たるかは研修の中身と職務との関係で決まるため、計画届の前に労働局に確認してください。通信やeラーニングだと、賃金助成は出ず経費助成だけです。

社会保険労務士に頼まないと申請できませんか

会社が自分で申請できます。厚生労働省のページに様式と記入マニュアルがあり、都道府県労働局の助成金窓口が相談に応じています。ただし、期限を過ぎた申請は受け付けられないため、手が回らない会社は社会保険労務士に頼む選択もあります。

まとめ

外国人雇用に使える国の助成金のうち、この記事では4つを取り上げます。外国人専用の就労環境整備コースは、定着の取組に定額の20万円か25万円です。ほかの3つは正社員化・研修・お試し雇用という雇い方に応じて出ます。

申請の順番は「計画を出す→取り組む→申請する」です。正社員にする前日、研修開始の1か月前、計画期間の初日の1か月前という締め切りがあり、過ぎると対象になりません。外国人雇用状況の届出と、出勤簿や賃金台帳の整備は、どの制度でも土台になります。

助成金は会社の負担を軽くしますが、目的は外国人の方に長く働いてもらうことです。多言語の就業規則や定期的な面談は、助成金がなくても定着に効く取組です。制度を入口にして、職場の受入れ体制を整えてください。

この記事のまとめ

  • 外国人専用の助成金は就労環境整備コースの1つで、20万円か25万円
  • 正社員化は1人40万円(最大80万円)、研修は経費の45%〜70%と時給800円
  • 取組の前に計画を出し、届出と書類をそろえることが受給の条件

出典・参考にした公的資料

制度は改正されることがあります。手続きの前には、必ず最新の公的情報をご確認ください。